津山事件をよく研究され、とくに犯人の犯行準備や犯行行動を突き詰めて考察されています。

ただ残念なのは犯行動機についてであり、「村の淫靡な風俗を憎んだ」のが主動機として書かれている点です。「こんな淫靡な村はなくなってしまった方がいいのだ」「あいつらは獣の牝と同じだ」と同族結婚を憎んでいたと描写されていますが、果たしてそれが動機だったかどうか疑問です。

その後の研究により、動機は以下の2点だと思われます。
1.財産簒奪
名家であった都井家を祖父両親がほぼ同時に結核で亡くなったため、親族会議で莫大な財産そして名家の系統も分家に乗っ取られた恨み 
2.結核差別
優等生で女性にももてていたのに、結核だという評判が立ったせいで村八分されていると思い込んだ。

財産系統簒奪については最近の研究でわかってきたことであり、当時としては仕方がありませんね。

本著の白眉は前述の通り犯行行動の描写です。

どのように銃剣類を準備したか。
どのように犯行に及び、その時に何を犯人は考えていたか。

そのシーンはあまりにも真実に迫っていて、一挙に読み終えました。

本小説は大ヒットし、映画にもなったそうです。

本著と同時に購入したので、後程鑑てみようと思います。